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Cypher ES は、優れた環境制御をサポートするために基礎から設計された唯一の原子間力顕微鏡です。この強固に統合されたアプローチにより、他のAFMよりも優れた機能と使いやすさを兼ね備えた環境制御を実現しています。Cypher ESの環境制御機能には、密閉されたガス・液体環境制御、温度・湿度制御、電気化学セルを用いたその場 (in-situ) 測定、さらにはグローブボックスにおけるオペレーションが含まれます。
このページでは、これらの環境制御機能の詳細と、各機能が提供するユニークな利点について解説します。
AFMに関する技術的なお問い合わせCypher ESは、完全密閉耐圧サンプルセルを備えた唯一のAFMです。この革新的な設計は、すべてのCypherES環境制御機能の土台となっています。サンプルの加熱・冷却や湿度制御、ドライ・不活性雰囲気での操作、電気化学セル使用など、いずれの場合もセルを完全に密閉できることが重要です。これが可能になって初めて、環境の制御と安定化、サンプル保護、そしてAFMがリーク時も安全であることを確信できます。
ほとんどのAFMは、サンプルセルとプローブホルダーの間に薄いゴム製のガスケットを軽く挟んで利用しています。これにより、耐圧性のない「ソフトシール」されたセルが形成され、頻繁にリークすることになります。完全に密閉された設計では、AFMスキャナの動作が阻害されるため、このような劣悪な方法がとられています。また、シリコーンのような非常に柔らかい材料を使用する必要があるため、多くの溶媒やその他の化学的にアグレッシブな溶液を使用することができず、化学的適合性が損なわれるケースも頻出します。
一方、 Cypher ES では、サンプルステージとサンプルセルの間に、完全密閉のエラストマーベローズを使用してシールしています。柔軟性がある一方で、厚手で強靭、かつ耐薬品性に優れたFFKMエラストマー(Kalrez相当)で構成されています。スチール製のフランジで両パーツに固定されており、境界部をしっかりとクランプして密閉します。CypherES のスキャナーは、高剛性のフレクシャと強力な直接駆動ピエゾスタックを使用した独自に設計されたものであり、スキャン動作がベローズによって阻害されることはありません。プローブホルダーは境界部を完全密閉するOリングにより、サンプルセル内に密閉されます。 このOリングには、要求の少ない用途向けのFKM(バイトン相当)製と、極度の化学的適合性を必要とする用途向けのFFKM製が用意されています。これらは環境制御が非常に重要な他の実験機器を密閉するために使用される設計原理と同じものとなっています。
この結果、サンプル環境を確実に制御し、サンプルとAFMを保護し、セットアップが簡単で使いやすい完全密閉セルが得られます。セルには、5 psi (~35 kPa) までのセルの気密性をすばやく確認できる圧力センサーも組み込まれています。
ポリマーや圧電・強誘電体サンプル、磁性材料など、多種のサンプルが相転移やその他の熱効果を示します。このため、AFMでイメージングしながらその場でサンプルを加熱することができれば、特性評価の範囲が大きく広がります。 Cypher ESでは、サンプルを周囲温度から250°C まで加熱できる高温サンプル加熱ヒーターが利用可能です。ヒーターは完全密閉されたサンプルセルと連動しており、サンプルを不活性雰囲気下で加熱することで酸化や不要な表面反応を防げます。
ヒーターはCypherESスキャナーに簡単に取り付け可能です。セットアップは、ヒーターを所定の位置にネジ1本で固定し、プラグ1つを直接スキャナーに接続し、いつものようにサンプルを磁気的にマウントするだけです。多くのAFMと異なり、AFMスキャナーの過熱防止用冷却液を循環させる個別の電子コントローラーや追加ケーブル、外部ポンプは不要です。Cypher ESでは、温度制御イメージングが、室温条件でのイメージングと同じく簡単に行えます。
アサイラム・リサーチのエンジニアは、強固に統合された設計により熱膨張効果の慎重な相殺を可能にしました。これにより、アクティブに加熱を行っている間でも熱ドリフトを非常に低く抑えることができ、サンプルの関心領域をスキャン領域にとどめておけます。このため、ほとんどのAFMで利用が難しいもう一つの機能である、「定義された ソーク(ドゥエル)セグメントに連動した温度ランププロファイルをプログラムする機能」が有効になります。緩やかな温度ランプにあわせてAFMイメージを継続的にキャプチャするように設定でき、イメージ間の温度設定値を手動で増加させる代わりに、相転移をタイムラプス過程として視覚化できます。
従来型のタッピングピエゾから、カンチレバー振動を直接駆動するパワー変調レーザーに置き換えた blueDrive 光熱励振法により、イメージングがより安定になりました。従来のAFMでは局所的な加熱によりタッピングピエゾの感度がわずかに変化し、結果的にカンチレバーのタッピング振幅が変化してしまいます。ユーザーは良好なイメージング条件を補正・維持するために、振幅のセットポイントを調整する必要がありました。これに対して blueDrive 光熱励振は機構が温度に左右されないため、振幅が一定に保たれ、ユーザーの介入がなくてもイメージングが安定し続けます。このため、加熱中のサンプルダイナミクスを見逃すことがありません。
さまざまなサンプルやプロセスが温度依存性挙動示しますが、多くの場合、温度範囲はわずかで、周囲温度より少し高いか低いかです。これらには、生体分子やその組織化、結晶成長・エッチングのプロセス、分子の自己組織化、界面物理学・表面化学の例が含まれます。このようなサンプルには、Cypher ES サンプル加熱・冷却ステージが理想的なソリューションとなります。液体・気体の両サンプル環境において 0〜120°Cの温度制御が可能です。高温サンプルヒーターと同様に、クーラーヒーターはCypher ESスキャナーと強固に統合され、完全密閉サンプルセルと連携して機能します。使い方がとても簡単なため、同じ条件下(例:25°C)で一貫した測定を行う場合も含め、多くの研究者に日常的に使用されています。
高温サンプルヒーターと同様に、ユーザーは熱ドリフトを最小限に抑える設計や、blueDrive光熱励振によって提供される安定した振幅応答より、クーラーヒーターを使用しながら極めて安定したイメージングを期待できます。サンプル温度はソフトウェアから直接制御され、「一定のセットポイント」または「制御されたランプ/ソーク(ドウェル)セグメント」のいずれかを有効にします。Cypher ESを用いることで、サンプル温度は、簡単に制御できるもう1つの実験変数になります。
原子間力顕微鏡の最大の利点の1つに、サンプルやプロセスを液中などさまざまな環境で視覚化できることが挙げられます。生体サンプルの場合、これは水や水性緩衝液を意味します。しかし Cypher ES では、有機溶媒やイオン液体など、他のさまざまな液体中でのイメージングも可能です。ここでも完全密閉サンプルセルが、これらの測定を簡単かつ安全に行うための基本となります。セルは液量を一定にして使用することも、かん流できる構成にすることも可能です。いずれの場合も、液体は封じ込められたままとなり、密閉されたチャンバーが蒸発やその結果生じる濃度変化を防いで平衡になります。
blueDrive光熱励振は液中でさらに効果を発揮します。従来型AFMの使用経験がある方であれば、液中におけるカンチレバーのチューニングは通常、大気中でのチューニングに比べてはるかに複雑であることをご存知でしょう。タッピングピエゾはAFM全体を振動させ、カンチレバーの応答に結合する疑似的な機械共振を誘起し「ピークの森」が発生しますが、どのピークをチューンして使用すればよいかを知るのは難しいものです。しかし blueDrive は、システムの共振を誘発することなくカンチレバーを直接励振するため、この問題を回避します。したがって、液中におけるカンチレバーの共振ピークは、大気中で見られるものと同様にクリーンかつクリアであり、チューニングも簡単です。タッピングピエゾを使用すると、わずかな温度変化や流体量の変動により、振幅応答が経時変化します。これに対して、blueDriveは、流体の加熱やかん流中であっても振幅を安定に保ち、ユーザーが調整することなく高品質のイメージングを維持します。
Cypher ESは、ドライガス中や液中でのイメージングに加えて、湿度制御下におけるガス中サンプルの特性評価にも使用できます。湿度制御することで、ドライガスや液体の両極端な環境間で、サンプルの水和をコントロールできます。水の吸着層はキャピラリーフォースに寄与し、他の表面力に影響を与える可能性があるため、湿度はしばしば界面における摩擦や他の相互作用に大きな影響を及ぼします。完全密閉サンプルセルは、この機能を実現する重要なコンポーネントです。内蔵された小型湿度センサーにより、セル内の相対湿度を直接測定できます。湿度制御は、希望する湿度のガスを流すか、セルのベローズに飽和塩溶液を満たすことで可能になります。飽和塩溶液は選択の種類に応じて特定の湿度が得られます(セル内で平衡状態の場合)。
エネルギー貯蔵に使用される反応性の高い金属(リチウム、ナトリウムなど)、2次元材料、および特定の光起電性材料など、一部の材料ではサンプルの保存だけでなく、場合によってはオペレーターの安全のために、さらに厳しく環境制御を行う必要があります。これらの材料は酸素や水と反応するため、酸素や水をサブppmレベルに低減可能な制御されたグローブボックス環境において取り扱われます。
グローブボックス内での操作は、Cypher ESでは次の2つの方法で簡単に行うことができます。まず、1つ目の方法です。完全に密閉されたサンプルセルをAFMから取り外し、グローブボックスに入れます。それからサンプルを準備し、セルに入れて密封します。次に、セル内の不活性雰囲気を維持したまま、グローブボックスからセルを取り出し、AFMに戻します。市販のAFMで、このような独自のワークフローを実現しているものは他にありません。そのため、不活性条件を必要としない他のプロジェクトの用途にも、AFMをラボで簡単に使用可能です。2つ目は、Cypher全体をグローブボックス内に設置する方法です。従来のAFMでは、性能と使いやすさの両面でトレードオフが避けられませんでした。しかし、Cypherは、ノイズや振動が多いグローブボックス内でも、使いやすさと超高分解能を維持しています。
Cypher ESは、バッテリーや腐食などの電気化学反応によるナノスケールの表面変化をモニターするのに理想的なAFMです。Cypher ES用の電気化学セルは、完全密閉サンプルセル内に組み込まれており、制御された環境を提供し、蒸発を抑制し、セルからの漏れを二次的に封じます。Cypher ESの超高分解能とblueDriveによる液中イメージングの容易さにより、EC-AFM測定がこれまでになく簡単になります。
ECセルとプローブホルダーは、幅広い電解質に対応するため、PEEKとPPSの両素材が用意されています。皿状のセルにより、作用電極上の表面積が明確になり、定量的なEC測定が可能となります。また、試薬を節約するために体積を制限し、表面張力の小さい電解質の使用を可能にします。また、リング状の対極は、より均一な電位勾配を作り出すことで、方向性のあるアーティファクトを低減します。
リチウム電池の研究やその他のセンシティブなアプリケーションに対応するため、Cypher ESはグローブボックス内でECセルと共に使用可能です。一般的なAFMとは異なり、Cypher ESはグローブボックス内でもその性能と使いやすさを十分に発揮します。
環境制御機能に関するお問い合わせ
環境制御が研究の推進にどのように役立つかなどのご相談や、新システム、アップグレード、各アクセサリーの価格関するお問い合わせは、こちらのフォームよりご連絡ください。
上記の環境制御機能は、Cypher ES および Cypher VRS AFM プラットフォームの両方で利用可能です。
既存のCypher SシステムをCypher ESまたはCypher VRSにアップグレードして、これらのアクセサリーを使用することも可能です。