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blue Drive 光熱励振タッピング


blue Driveとは

 AFMのイメージングにおいて、現在でも最も代表的で汎用的な手法は「ACタッピングモード」です。ACタッピングモードでは、カンチレバーを固有の共振周波数で振動させて試料表面をスキャン走査します。カンチレバーの励振方法にはいくつかの種類があり、カンチレバーを保持するホルダ近くに設置されたピエゾ素子(シェイクピエゾ)でカンチレバーホルダごとカンチレバーを励振する「ピエゾ励振法(音響励振ともも呼ぶ)」が一般的で、ほとんどの市販AFMではピエゾ励振が用いられています。
 『blueDrive』は、カンチレバーの励振方法の一種で、励振用のレーザーをカンチレバー背面に照射することで生じるバイメタル効果と温度勾配によりカンチレバーのみを直接励振する方法で、「光熱励振法」と呼ばれます。
制御別AFMイメージングモード
 【AFMイメージングモード(制御別)】

なぜblueDriveが必要か?

プローブの振動振幅の不安定さ = プローブ-試料の相互作用状態が変化

 ACタッピングモードでは、カンチレバーを固有の共振周波数でチューニング””し続けることが必要ですが、カンチレバーをチューニングするうえで、「Forest of Peaks」という問題が挙げられることがあります。ピエゾ励振の場合、物理的な制約から励振用ピエゾ素子がカンチレバーtipから離れた位置に配置されるため、ピュアなカンチレバー作用以外に、ホルダや周辺機構の機械的な振動も加算された結果がフィードバックされます。これは特に液中測定においては顕著な問題となります。
 カンチレバーtipの振動振幅が不安定になると制御自体が不安定になり、プローブとサンプルの相互作用状態が変化することから、結果として測定中にデータが変化してしまったり、再現性が得られない、Tip-試料の定量的な相互作用力が見積れない、Tipが損傷する、チューニング自体が困難になる、などのトラブルが生じます。
  • 測定中にデータが変化してしまう
  • 再現性が得られない
  • Tipの損傷
  • チューニング自体が困難になる
  • カンチレバー毎のばらつき
  • 温度・時間変化によるドリフト
  • 高周波数プローブのチューニングが困難
ピークの森 "Forest of Peaks"
時間経過によるカンチレバーの振幅(上)と位相(下)の変化。振幅・位相ともに不安定であることが分かる。

blue Drvieがもたらす『安定性』『再現性』

blueDriveでは、カンチレバー"のみ"を"直接"振動するため、プローブのピュアな作用だけを得ることが可能で、理論値と実測値が完全に一致した理想的なチューニングカーブが簡単に得られます。また、時間や温度によるドリフトが無く、長時間にわたり非常に安定した制御が可能であり、再現性に優れた定量的なデータを得られます。

ウェビナー(英):  "blueDrive Photothermal Excitation Makes Tapping Simpler and More Stable"

 

概要

"blueDrive"はCypher AFMファミリーで利用可能なオプションで(※)、従来のACタッピングモードによるイメージング技術を改革し、非常にシンプルでありながら、驚くほど安定で正確な制御を実現しました。
「この卓越した新しい技術の背後にある"Science"についてもっと学びたいAFM研究者にとって、このウェビナーは優れたリソースになります。毎日のAFMイメージングを、より簡単かつ定量的にすることができます」とAsylum ResearchのR&DサイエンティストのAleks Labuda博士は述べています。 「カンチレバーの振動理論に磨きをかけたい人にとって、詳細を学び質問するための優れた教育の機会になるでしょう。」
このウェビナーでは、タッピングモードの利点と課題・カンチレバーの応答と圧電駆動理論・カンチレバーの励起・実装、更には材料科学とライフサイエンスの用途にblueDriveを使用する利点について説明します。初心者から上級者まであらゆるレベルのAFMユーザーだけでなく、新しい技術の背後にある物理学と科学を学びたいユーザーにとっても有用です。
(※) blueDriveリリース当時。現在はJupiterXRにも利用可能(但し波長は異なる)。

講師紹介

Dr. Aleks Labuda is a Research & Development Scientist with Asylum Research, an Oxford Instruments company, and the lead developer for blueDrive. Dr. Labuda has more than seven years of AFM experience. He received his Ph.D. from McGill University in 2012.

blue Drive搭載 AFM Family

blueDrive技術資料
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